天気痛ってなあに(5)
長々と続けてまいりました天気痛のお話。
気がつけばもう、秋風が吹いています…
調べていくうちにいろいろなことがわかって、私自身とても勉強になったのですが、そろそろ終わらせましょう(^^;
ここまでの流れをご存知ない方はこちらをご覧くださいね。
天気痛ってなあに(1)
天気痛ってなあに(2)
天気痛ってなあに(3)
天気痛ってなあに(4)
天気痛はそもそも、気象の変化に伴い慢性痛が生じたり悪化したりすることを指しています。
気象の変化を感じる場所は、身体の中のあちこちにあるセンサー(受容体)なのですが、中でも気圧や温度は、耳の奥にある「内耳」が関係しているといわれています。
天気痛のある人は、この「内耳」がなんらかの理由で敏感で、ちょっとした気圧の変化でも感じ取ってしまい、痛みや不快な症状へとつながるのです。
前回のお話では、痛みを感じる「脳」が、繰り返し起こる痛みによって変容し、痛みを過大にしたり、不安や恐怖を強く感じること、それによって身体を激しく反応させてしまう、とお伝えしました。
ではどう対処したら良いのか?
ここからが今回の本題です。
慢性痛への対処法
1.記録をつける
まず、自分の痛みについて知ることから始めましょう。
この記録は、痛みがいつ、どんなタイミングで、どのくらいの強さで起こったのかを知るためにつけます。
そのために便利なツールが、「頭痛ーる」というスマホ用アプリです。
佐藤純先生の著書「天気痛」の中でも紹介されています。
これを見ると1日の中でも気圧が変化しているのがよくわかります。
まるで潮の満ち引きのようです。
気圧が大きく変化をする際には、前もって教えてくれます。
こうした記録をつけることによって、痛みが天気と関わっていることが確認できれば、「いつ起こるかわからない漠然とした不安」が少なくとも和らぎます。
私の場合、単なる気圧のみの変化ではさほど体調に変化はないのですが、月経中や排卵期と重なることによって、だるさや眠気、頭痛といった何らかの症状が起こりやすくなることがわかりました。
あとは体調が元々良くなかったり、睡眠が足りていないときなどに、センサーが過敏になる感じがします。
このように、いつ、どんなタイミングで痛みが起こるのか、またその時の痛みのレベル(5段階評価でどのくらいか、など)を知ると、対処がしやすくなります。
例えば、今日はちょっと無理をしないでおこう、とか、明日は気圧が大きく変化するから、早く寝て調子を整えよう、といった感じです。
また、佐藤先生の本によると、抗めまい薬が内耳のむくみをとる作用があり、それらを上手に服用することによって痛みを予防することも可能だそうです。
詳細についてはぜひ佐藤先生の「天気痛」を読んでご確認ください。
2.首周りのエクササイズ
この夏、台風が訪れるたびに自分の身体でいろいろ実験をしてみました。
頭痛がしたり、関節が痛むなど人によって症状は様々ですが、私の場合は一番重だるくなるのが首です。
首の筋肉は頭ともつながっていて、特に側頭部には、天気痛と関連の深い「内耳」があります。
色の塗られた部分が側頭骨です
内耳のむくみが痛みと関係をするのであれば、その周りの血流をよくすることで症状を和らげることも可能です。
特に台風の来る前に本をガッツリ読んだり、スマホを見すぎたりして肩や首に疲労をためるとモロに悪影響が起こり、天気痛だけでなく体調そのものを崩しかねません。
ですので早く寝るのは基本です。
23時には布団に入りましょう。
そして、これらのエクササイズをやってみてください。
タイミングはいつでも構いません。
*呼吸は逆でも大丈夫。気持ちのいい方を優先してください。
*それぞれ3回ずつ行います。
A.首の後ろ側
①座った状態で頭の後ろで手を組みます(吐く)
②息を吸いながら手と頭で押しあいっこします
③吐きながらゆるめます
B.首の横側
①片側の耳のすぐ上のあたりに手のひらを当てます(吐く)
②息を吸いながら手と頭で押しあいっこします
③吐きながらゆるめます
片側を3回した後に反対側も同様に行います。
C.首の回旋
手の当て方はBと同じです。左右交互に行います。
首だけでねじる、というより身体は勝手についてくるイメージです。
①片側後方を振り返りつつ、手で押しあいっこ
②呼吸のタイミングで正面に戻る。手を反対側にチェンジ
③先ほどと反対の後方を振り返りつつ、手で押しあいっこ
④呼吸のタイミングで正面へ戻る。①から繰り返す
今回ご紹介しているのはアイソメトリックという「等尺性収縮運動」です。
筋肉の長さを変えずに力を発揮する運動です。
伸ばすためのストレッチもほどほどなら良いのですが、やりすぎるとその後にまた縮みたくなる感覚があり、かえって疲労感が増す恐れがあるので、ここでは省きます。
(佐藤先生の本では紹介されています)
3.耳たぶエクササイズ
これは目を覚ましたい、頭をすっきりさせたいときにも有効です。
①耳を指でつまむ
②たてたてよこよこ、内回し外回しを気持ちのよい回数行う
③3ヵ所くらい場所を変えて繰り返す
4.おまけ
ここからは実験の段階で、エビデンスも何もないので、この人何言ってんのと思われる覚悟でお話します。
どんな話かというと、「噛みグセを見直すと天気痛も良くなるかも?」という仮説です。
えっとですね、私、台風がきて上記のエクササイズを実践しているときに、ふと
「顎を動かしたいなあ」
って思ったのですよ。あご。
なんだか無性に普段食べないガムを噛みたくなったりして。
なかったので噛みませんでしたけど。
顎は口の開閉をする場所ですが、筋肉は首や頭ともつながっています。
そして顎関節がある場所は、耳のすぐそばにあります。上のイラストの色の塗られた部分です。
では、耳の奥には何があります?
…気圧や温度を感じるセンサーのある「内耳」がありますよね。
顎を上手に動かせば、この内耳に良い影響を与えるのではないかな、と思って、何かそれらを結びつける本を探しに図書館に行ったのですよ。
そしたらこんな本に出会いました。
この本の著者である長坂先生は、田端で歯医者さんをしている先生です。
歯の治療をしていたら、難聴が良くなったという患者さんの話を聴いて、それから噛み合わせと聴力を研究するようになったという面白い経歴の持ち主です。
歯科なのに聴力を調べるオージオメーターを設置して、治療前と治療後の聴力を測定し、噛みグセと聴力の関係を実証していらっしゃいます。
ここで皆さんにやっていただきたいのですが、
耳の穴に指を入れて、何度か顎を動かしてみてください。
…耳の奥が動くでしょう?
さらにね、指を耳の穴に入れたままやっていただきたいのですが、
右の奥歯、右の前側、左の前歯、左の奥歯…と噛んでみてください。
(歯の番号はここでは気にしないでください)
噛む場所を変えていくと、耳の奥の狭まり方、動き方が変わりませんか?
奥歯で噛む方かより大きく動きますよね。
人にはそれぞれ噛むときにも癖があって、特に日本人は奥歯で噛むくせがあります。
それは食文化に由来するものであり、また小さい頃から「奥歯でしっかり噛みなさい」と言われてきていますから、それが習慣として根付いています。
でも、この本の中では、同じ場所で噛み続けることが顎の同じ場所に負担を与え続けるだけでなく、果ては聴力にまで影響する、と記されています。
原因不明の難聴やめまい、加齢による聴力の低下の何割かは、適切な歯科治療と、噛みグセの見直しによって改善するなんて•••
なんだかすごく興味深くないですか?
この本には「噛みグセの直し方」も載っていますので、正しいやり方は是非実際に読んでいただければと思います。
(図書館にもありますよ!)
とりあえず、食事のときには奥歯だけでなく、他の場所でも噛んでみてください。
右奥から順番に左奥、あるいは逆から。
そうすると、ああ、確かに使ってない歯がある。特に前歯で噛むのって難しい。
ということに気がつくと思います。
私も気がついたときに実践しているのですが、多分変な顔になっていると思います。
でも実践していくうちに、早食いだったのに食べるのがゆっくりになりました。
まだ顎への負担がかかりにくくなっているとか、天気痛が起こりにくくなっている、という実感は正直、ありません。
けれど噛みグセによって内耳やその周辺の筋肉などに負担をかけているのであれば、それを改善することによって、天気痛を引き起こす内耳のセンサーの「敏感さ」も変わってくるのではないか?というのが私なりの仮説です。
いやいやいや、天気痛を調べていたら、まさかの顎にいきついたという(笑)
まとめ
結局のところ、痛みをゼロにすることはできません。
けれど痛みをコントロールすることはできる!と知ること、そしてエクササイズや生活習慣の見直しなどを実践することによって、自律神経を整え、痛みに対する脳の認知を修正することができます。
文章が長すぎて、参考になるんだかどうだかってところもあったかもしれませんが、
漠然とした不安が今回の記事で少しでも解消され、前向きになれたのであれば幸いです。
ありがとうございました!