天気痛ってなあに(4)

さて、天気痛のお話、続いております。

今回は自律神経と痛みのお話です。

 

前回までの内容はこちらを読んでみてくださいね。

天気痛ってなあに(1)

天気痛ってなあに(2)

天気痛ってなあに(3)

 

その(1)では、天気痛はもともとある痛みが気圧や気温、湿度などの気象の影響を受けて生じたり、悪化したりする痛みであること、

その(2)と(3)では、それらの変化を身体のどこで感じているのかというお話しました。

 

では今度は、その痛みを増強する仕組みについてみていきましょう。

 

痛みに関わる自律神経

 

自律神経のこうちゃんとふくちゃん

自律神経とは、自分の意志とは関係なく、呼吸や体温、消化など生命維持に関わるからだの機能を調整してくれている神経のことです。

この自律神経は、交感神経副交感神経の2つによって成り立ちます。

 

こちらもみてね

 

 

両者がそのときどきの環境に合わせて、優位になったり抑えたり、スイッチしながらバランスを保つことで、身体内部の恒常性=ホメオスタシスが保たれているのです。

 

※恒常性…外部環境が変わっても、体温や体内の水分量などを一定に保とうとする働きのこと

 

このとき、自律神経をスイッチするのが「ストレス」です。

 

自律神経をスイッチする「ストレス」

 

一般的に「ストレス」というと、心理的ストレスが真っ先に思い浮かぶと思いますが、実はストレスにはいくつかの種類があります。

  • 物理的(環境)ストレス
  • 化学的ストレス…大気汚染、薬物、化学物質など(強い香りもコレかな?)
  • 生物的ストレス…炎症、感染、過労や栄養不足、睡眠不足など(虫に刺されてかゆいとか)
  • 心理的ストレス…人間関係、環境の変化などによる緊張や不安など(パワハラでヘトヘト…)

 

ここでいう気圧や温度、湿度などの気象が与えるストレスは、「物理的ストレス」に該当します。
そしてその結果起こる反応が「ストレス反応」です。

ストレスが外側からボールを押す圧力だとしたら、ストレス反応はそのボールを押し返す力のこと。

つまり恒常性を保つためには、この「押し返す力」が必要なのです。

ボールをキャッチしそびれたうさぴこ

↑ボールに負けた…

 

例えば夏場、エアコンの効いた、気温や湿度のストレスのない環境で長く過ごしたとしましょう。

ストレスがない、ということは、当然ストレス反応は起こりません。
自律神経はスイッチする必要がないわけだから、めっちゃ楽ちんです。

 

けれどもし、そんな状況下でいきなりエアコンが止まってしまったら?

 

身体は否応なく反応し、自律神経を切り替えようとします。

本来ならば、交感神経が優位になり、汗をたくさんかいて、自力で体温調節をすることができますが、エアコンに頼った生活を長くしていると、切り替えがうまくいかず、その力を発揮することが難しくなってしまうのです。

 

つまり、必要なときに対処ができるようにするために、適度なストレスは必要であり、ストレスに対して身体が反応することは正常なことである、といえます。

怒りのあまりちゃぶ台を持ち上げたうさぴこ

今、交感神経優位です!!

急性痛と慢性痛

 

さて、ストレスを受けたときに興奮して活発に働くのは交感神経です。

気温や湿度、気圧の変化というストレスを受けたときになぜ、慢性痛が増強するのでしょうか?

 

急性痛

まず、慢性痛に対して急性痛というのがあります。
捻挫や突き指、火傷や骨折などをしたときに起こる急性の痛みです。

これは生命を守るために必要な痛みであり、信号です。
痛みが起こるからこそ、パッと手を引っ込めるといった反応や、危険な場所から身を遠ざけるといった行動ができるわけです。

 

この急性痛は、ストレスを受けて交感神経が興奮すると、「ストレス誘発鎮痛」が起こり、痛みを抑える物質が分泌され、痛みを感じにくくなります。

例えば、危険な場所から、一刻も早く逃げなければならないときにグキッと足をひねったとき。

大会などで、記録や勝敗がかかっていてとにかく必死なときなど。

一時的にその痛みを忘れて「そんなの関係ねぇ!」、なんてことがあるでしょう。
そのときには痛みを抑制する作用が働いているのです。

 

 

慢性痛

一方慢性痛は、急性期を過ぎて肉体が回復したと思われる期間を過ぎても、長く持続する痛みを指します。

これは本来、必要のない痛みです。

急性痛をきちんと取りきらないと、痛みが脳に伝わり、その経験が記憶として何層にも積み重なります。
そのたびに、「辛い」「苦しい」「どうなってしまうのだろう」というネガティブな感情が起こり、痛みがいっそう強固になるのです。

 

目頭を押さえる女性のシルエット

 

慢性痛は脳そのものを変えてしまう

 

痛みは脳で感じています。
痛みやそれに伴う不安などのストレスを受け続けると、脳そのものが変容してしまうのです。

例えば、脳を構成するこれらの場所。

扁桃体 脳内で情動の中枢ともいわれている。特に不安や恐怖といった負の感情を感じると反応し、ストレスホルモンを分泌させ、交感神経を興奮させる
前頭前野 高度な精神機能を担い、扁桃体の暴走にブレーキをかける
海馬 記憶に関わる

 

脳が変容することによって痛みを過大にしたり、不安や恐怖を強く感じたりさせることによって、身体が激しく反応してしまうようになります。

つまり、脳は痛みを利用して身体を守りますが、同時に痛みを抑制したり、増幅したりもするのです。

びっくりして青ざめるうさぴこ

 

…こんなふうに書くと、「脳が変容しているんじゃ、もう天気痛なんてどうしようもないんじゃないの?」と不安に思うかもしれません。

 

いやいや、ちょっとお待ち下さい。

 

この場合の変容は、確かに好ましくないものではありますが、脳は良い方にもちゃーんと変化することができるのですよ!

 

脳に備わっている回復力「神経可塑性」

 

「神経可塑性(しんけいかそせい)」というと難しく感じるかもしれませんが、脳は良くも悪くも学習することができます。

外からの刺激を受けて、変化をすることができるのです。

つまり、誤った学習をしてしまったとしても、新たに学習をしなおせば、脳はそのように変わることができる、というわけです。

 

おおー!私達の脳、すごくないですか!?\(@o@)/
「あきらめたらそこで試合終了です」←まさにコレですよ。

 

じゃあどう変えていけばいいの?というところは、また次回に。おそらく次が最後かと…

 

 

今回も佐藤純先生の著作を大いに活用させていただいております。

もっと内容を深く知りたい方はぜひこちらを読んでみてくださいね。

太鼓をならすうさぴこ